自死を考える

近年、自死された方の数は、日本で年間3万人を越え、交通事故で亡くなる方の人数を上回っています。
昔から自死される方は多くおられるが、表面に出なかっただけだ、と言われる方もおられるようですが、実際の数の推移を見てみますと、そうともいえない事実があるようです。
では何故これほどにまで、自死される方の数が増えてきたのでしょうか。
原因は単一とは言えず、簡単にこれが原因だとは言えない難しさがあるようです。
しかしその中でも、直接的原因として見え隠れしているのが、精神疾患ということです。
医学的定説として自死既遂者の高確率で精神疾患の関与があるとされて

いるようです。
特にうつ病の関与は大きいようです。
ひとくちに、うつ病と私達は表現し認識をしていますが、医学的にいううつ病と、一般に思っているうつ病とは少し異なるところがあるようです。
一般には「憂鬱な状態」や自分が「うつ病なんだと自己表現」したり、「誰々のおかげでこのような うつの状態になったんだ」といているような、いわゆる「うつ病もどき」もうつ病と考えてしまいがちです。
医学的に言ううつ病は「大うつ病」と呼ばれたりし、どのように起こるかはまだ明確に意見が一致しませんが、
  「脳内の神経伝達物質(セロとニン、ノルアドレナリン)の濃度が低下するから」
といわれています。
こうなると実際にはどういう症状が出てくるのかを、右に示しておきます。
右にある(9)が自死の原因と考えられます。
つまり「大うつ病」は明らかに肉体的な疾患ともいえるのです。
では何故このようなことになるかと言いますと、
 「素因を持つ人に、ストレスとなる出来事が重なることで発症する」
と考えられています。
つまり素因が大きい人ですと、他の人がストレスと感じない程度でも、そのストレスにより発症することがあり、逆にどんな精神的に強い人(素因の小さい人)であっても、ストレスの度合いが大きくなればうつ病発症につながるということです。
言い換えますと、うつ病は特別な人だけがかかる病気ではなく、誰でもがかかる病気であると言えます。
このようなことから自死の原因は、気質的なものともいえますし、ストレスが誘引となるともいえます。
また言葉は難しいですが「外傷性ストレス障害」「パニック障害」「社会不安障害」「強迫性障害」「全般性障害」などがうつ病と併存することが多いため、これらのことが原因であるかのように考えられることがあるようです。
そのほか脳の器質的障害を認める病気である、脳腫瘍やアルツハイマーからうつ病になる可能性もあります。
また全身的な病気(糖尿病、甲状腺疾患、肺炎、結核、心疾患など)の治療薬によって、あるいはその病気のストレスによっても、うつ病が発症することがあり、自死の原因を特定できない原因がここにあります。
当然うつ病以外の原因で自死する場合もあるでしょう。
例えば先に「うつ病もどき」と表現した状態ですが、この時自死することはまず無いといわれますが、(見せかけ自殺が自死に及んでしまった場合は別)自死を思いとどまらせている状態を、飲酒によって自死する状態に変えてしまう場合もあるようです。
また抗うつ薬によっても、自死を思いと止まらせているたが(・・)をはずしてしまう場合があります。「うつ病もどき」の時に抗うつ薬を投与したときなどです。ですので「大うつ病」と「うつ病もどき」との違いを見極めることが大切であるし、また薬の増減を自己判断しないことが大切であるともいえます。

では自死抑制をどのように考えていけばよいのでしょうか。
まず身近な人が「大うつ病」かなと感じたら、迷わず専門医(精神科・心療内科)に連れて行くことが大切でしょう。
「大うつ病」の人は自ら病院に行こうとはせず、いく必要を認めないので、注意が必要です。
そして治療に関し、自分の時間を割いてでも、寄り添いが必要でしょう。
病気なのですから本人の力ではどうしようもないところを、おぎなったり、環境を整えたりする手助けが必要です。
 「病気が原因で今の状態になっている。本人の力や、努力ではどうしようもないのだ」
ということを充分理解する必要があります。
また「いつ終わる?」ということの答は無いと考えねばなりません。
そのことについて最もつらいのは本人なのです。
次に精神的につらい思いをしている人、ストレスを多く感じている人に対しては、やはり寄り添いが必要でしょう。
具体的にはその人の「話を聞く」ということでしょう。
場合によっては何人かのグループで、支えていくことが必要になるでしょうし、専門家(医者、カウンセラー、宗教者、行政者、公的相談係)の手助けも必要かもしれません。
グループでの支えが必要なのは、自分ひとりでは支えきれないことが多いからです。
また金銭が原因となっている場合や、公的な施設の利用や補助が必要なこともあるから公的支援が必要となるのです。
大切なことは原因の除去・緩和と同時に精神的アプローチも必要であることです。
この精神的アプローチが「話を聞く」ということになります。
またカウンセラーや宗教者による「価値観の変革」や「自分自身に気付く」ことや「心の支えを得る」ことの導入により、原因除去ではなく、苦しみを乗り越えていけることが可能になるのです。
最後に、現代社会で生きている私達は、多くの社会的問題の中で生きていかねばなりません。
苦しみの原因が欲望にあることが解っていながらも、多くの誘惑に負け、価値観を見失ってしまいます。
「欲望を満足できるものが、すばらい物と勘違いしてしまう」のです。
私達は、日常の暮らしの中で、確たる価値観を、また生きる拠り所となるものを持たねば、簡単に押しつぶされてしまう社会に生きているということに気付く必要があります。
そのためには、人生の岐路に立った時や、選択を迫られた時ではなく、それ以前に確たるものとの出会いが必要となります。
今一度自分の生き方、人生の歩み方を考えるべきでしょう。

赤字は 対応を
  ① 大うつ病
  ②ストレス状態

    小うつ病
    うつ病もどき

  それ以前
 で考える

浄土真宗 十方会
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(1)抑うつ気分
  「このところ、ずっと気分が沈んでいつと
   いうか心が重いです」
(2)興味または喜びの著しい減退
  「何をやっても、誰といても楽しくないん
   です。すべてがつまらなく感じます」
(3)体重減退体重増加食欲の減退または
   増加

  「何も食べる気になりません。食べても
   美味しくないし、味を感じられません」
(4)不眠または睡眠過多
  「寝ようと思っても全く眠れないんで
   す・・・。
   朝は目覚ましをかけなくても、早くから
   早くから自然に目覚めてしまいます」
(5)精神運動性の焦燥または制止
  「いろんなことが心配で、落ち着きま
   せん。
   不安で仕方ないという感じです」
(6)疲労感または気力の減退
  「とにかく疲れて、体が鉛のように重く
   感じられます。
   何をするのにも億劫で、エネルギーが
   全く出てこないんです」
(7)無価値間または過剰(不適切)な
   罪責感

  「家族に迷惑ばかりかけて、自分は
   本当にダメな人間です」
(8)思考力や集中力の減退、決断困難
  「何も決められないんです。夕飯の
   メニュー を決めることもできないん
   です」
(9)死についての反復思考、自殺念慮、
   自殺企図

  「いっそ、消えてしまいたい」

自死問題

「自殺したい」と打ち明けられたら

誰でも良いから打ち明けたのではないこ
  とを理解すること
生と死の間で激しく揺れ動いている事を
  理解すること
時間をかけて訴えを傾聴すること
 ・80対20の法則
 ・返事を用意しない 
 ・沈黙を共有してもよい
してはならないこと
 ・話題をそらす/話をはぐらかす
 ・当たり障りの無い表面的な激励を
  しない
 ・批判がましく説教しない
 ・強く叱りつけない
 ・世間一般の価値観(常識)を押し付け
  ない
悩みを理解しようとする態度を伝える
充分に傾聴した上で、他の選択肢を伝
  える
いつも「自殺」の話題から打ち明けてくる
  わけではないことを理解しておく